『明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかわ』

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス!私たちの身の回りにもその脅威が静かに、しかし確実に迫ってきているように感じる2020年の春です。マスクが不足し手に入らなくなり、トイレットペーパーの買いだめがされ、学校が休校になり、会社もテレワークを余儀なくされ、不要不急の外出も自粛をせざるを得ない春です。せめて写真で花見をと思い近くの公園の桜の写真をアップしました。

大人も子どももみんなストレスをため込んでいます。そんな時だからこそ、外出を控えなければならないことを嘆くより、今まで放置していた家庭の中でできることをしてみませんか? 例えば、写真の整理、タンスの服の整理など。終活という言葉が世の中でよく言われるようになりましたが、例えば写真の整理も終活の一つではないでしょうか? 自宅での時間に余裕がある今だからこそ、普段なかなか手を付けられなかったことにチャレンジしてみてはどうでしょうか?

冒頭の歌は、親鸞聖人が9歳の時、青蓮院で得度式を受けに行かれた時、青蓮院の慈鎮和尚が「今日はもう遅いので明日得度式をしよう」と親鸞聖人におしゃられたさいに、読まれた歌だといわれてます。『今はきれいに咲いている桜も、今夜あらしが吹いて散ってしますかもしれません。ですから今この場でお得度をしていただきたい』という気持ちが込められている歌です。

新型コロナウイルス猛威を振る中、ただ恐れて何もしないでいるのではなく、今までできずに、やらずに放置してきたことに目を向けて、一日一日を過ごすことがいま私たち与えられた課題ではないでしょうか? 自分の身の回りだけでもたくさんあるように思います。世の中に対しても自分のできることが何かないか、考えてみることが必要だと思います。

私たちの ❝いのち❞ も桜のように短く儚くいつ終わるかわからないものです。明日へ明日へと伸ばしてきたことを今日、いまこの時を大切にして、取り組むようにしてみませんか?

(自戒の念を込めて。住職 釋孝顕)